令和03年01月01日



          「恵寿友会会員の皆様への新年挨拶」

恵寿友会の皆様へ

新年明けましておめでとうございます。・・・と、例年通りの挨拶を申し上げましたが、本当に今年は、目出度い年になるのでしょうか? 昨年年初から始まったコロナ騒動、日本でも早期に収まる気配はありません。感染者数は依然として増え, 医療関係者の方々の献身的なご努力には、心から敬意を払いたいと思います。
今年の見通しは, 未だ不明ですが、恵寿友会としては1018日に久しぶりの全国懇親会を東京のいつもの場所で開く予定でおります。形式などどうなるかわかりませんが、やる予定ではあるものの、巨額のキャンセル料の支払いを避けるため, 3月中に最終決定をしますが, とりあえずスケジューリングしておいてください。

エッソは、会社もブランドも完全に日本から無くなりました。残念ですが、思い返すと面白い会社だったですね。外資系だっただけに, 日本の会社では見られないような制度・仕組みがあり、社員には若くとも権限や責任を与えて仕事にチャレンジさせ、男女間の差別もあまりなく、皆が「さん」付けで呼び合い、石油会社の中では最も生産性の高い実績で, 販売シェアーは78番目の会社だったのに, 利益では常に12を争っていました。私は、リーテルセールスマンで地方での駐在仕事が初めてでしたが、油槽所の方々が本当に真面目に真剣に仕事をやっておられた事を鮮明に覚えています。エッソは新しい営業プランを次々に打ち出していたのですが、支店の人々も皆さん一生懸命一丸になって営業をサポートしておられました。多分本社の管理部門・スタッフの方々も同じように皆さんそれぞれの持ち場で真剣に仕事をされておられた事と思います。その結果が小さいながらも内容の良い会社になっていったのだと思います。また、エッソが外資で、しかも世界的なグローバルカンパニーだっただけに、いろいろなポリシーも日本の会社とは違ってユニークでした。出張の新幹線や飛行機の切符も、乗っている時間の長さで誰にでもグリーン車やファーストクラスが適用され、社員のポジションで決まっている多くの日本の会社とは異なっていました。平社員のポジションでヨーロッパ出張に行くチャンスがあり, ファーストクラスに人生初めて乗って, 提供される高級日本酒を向こうへ着くまでに全部飲み干して、その便の在庫をからにしてしまったとかいう猛者もいたようです。エッソの企業年金制度もアメリカのエクソンの方式にならって, 定年後死ぬまで支給される制度なんて、日本の他の会社で聞いた事がありません。
また、女子社員の勤続年数が日本一の会社になっていた実績もありますね。(この事では面白い話があります。私の息子が学生時代友人と就職活動で会社訪問というのでエッソにも寄ったらしいのですが、夜、『エッソはどうだった?』と聞いたら、『お父さんの会社はお母さんみたいな人がいっぱいいたね。』と言われて絶句しました。)

また八城さん達が提唱した『社長や役員も60歳になったら、皆と同じく全員退職するんだ』という不文律も、いまだに役員退職後, 会長や名誉相談役などという役職名で院政を敷いている日本の会社に比べると, どんなにすっきりしていたことやら・・・
皆さんはどういう理由でエッソへ就職されたか知りませんが、小生など、大した理由もなくたまたま、何千・何万とある会社の中でエッソに就職したら、素晴らしい先輩や同輩や後輩の人たちと接することが出来、今日を迎えることが出来ています。(中には?と思われる人物もいたぞ、と思ってらっしゃる方もいるかも知れないが・・・)。外資系であるが故に、先述した日本の会社ではあり得ないような政策や平等な取り扱いなど、素晴らしいことも多く, 小生はOBになってからこの20年間, 政府の組織で仕事をしたりエッソではマーケットの無かった北海道や離島の仕事をしたり、ビジネスコンサルタントとして 日本の有名な会社の社員のトレーニングに携わったりして, 外部からエッソを見直す機会が多かった。全く問題はなかったとは言えないけど、全体としてエッソは素晴らしい会社だったと思います。恵寿友会で付き合う全国の皆様、また、関東支部は会員も多くいろいろな同好会があり、OBが勝手に集まり、旅行やゴルフやカラオケやボーリングや麻雀などしたり、グルメ会と称して美味しい食べ物屋に行ったり,落語倶楽部で寄席や芝居も見に行ったり、ある分野の専門家の講師を呼んで勉強会やクッキングスクールも開いたりして楽しんでいる仲間達・・・何かの縁でエッソでご一緒した方々と, 退職後何十年も楽しく付き合える・・こんな組織はあまりないのでは無いでしょうか?
しかし、エッソは, もう完全に日本では無くなりました。また、2030年代にはガソリン車・軽油車の製造販売も禁止され, 地球温暖化防止のためCO2を出す石油燃料はいずれ完全に無くなる可能性が大です。灯油や石油化学品や潤滑油の一部は残るかも知れませんが、原油を日本まで持ってきて、ガソリン・軽油・重油などを精製しない石油産業があり得るでしょうか? 50年後は全く石油の需要が無くなるかも知れません。恵寿友会の最若手の会員は今50歳代です。50年後100歳になられる頃, 石油もほとんど使用されなくなる事を見届けられて天国にお立ちになるのでしょう。
それまでは、何かの縁でお知り合いになることになったエッソOBの方々は, 全国どこかで お目にかかった時、ハグは出来ないでしょうからグー・タッチでもして、残りの人生を医療関係者をはじめ多くの方々に感謝しながら、意義深く楽しく送って行こうではありませんか。

コロナウィルス感染者の急増する状況の中、エッソ石油への思いが高まり、新年の挨拶としては大変長くなりました。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。文末になりましたが、今年も皆様のご多幸を祈念して挨拶とさせていただきます。

 令和3年(2021年)元旦
                        恵寿友会会長   西 尾 直 毅