新型インフルエンザA (H1N1)に関するQ&A

 今年の4月にメキシコに端を発した新型インフルエンザA(H1N1)(以下H1N1)の流行は、その後世界各国に広がり5月の大型連休明けにはわが国でも感染が確認されました。その後いったん感染の拡大は落ち着いていましたが、8月以降再び流行の兆しをみせており、8月末以降には、インフルエンザ患者のほとんどが新型の感染者となっています。今回はこれまでに皆さんからお寄せ頂いたお問い合わせの中から、特に多かったものや、知っておくことが望ましいと思われるもののなかからいくつか採り上げ、Q&A形式でお届けします。 なおQ&Aに書かれた基準については、エクソンモービル・ジャパングループで適用している基準であり、あくまでも参考情報としてお取扱いください。(特にQ6とQ10)
【予防に関するQ&A】
Q1. マスクをすることで感染を予防する効果はあるのですか?
A1. 健康な人がマスクを着用することで感染を完全に予防できることが示された科学的データはありません。感染を予防するためには
@咳、くしゃみなどインフルエンザ様症状のある人には近づかない
A人混みの多い場所には行かない
B手洗いにより手指を清潔に保つ
これらの感染予防策を優先して実施することをおすすめします。
Q2. 季節性インフルエンザの予防接種は、新型インフルエンザAの予防にもなりますか?
A2. 季節性のインフルエンザ予防接種は、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の3種類あり、毎年流行する型を予測してワクチンが製造されています。しかし、季節性のインフルエンザ予防接種には、新型インフルエンザAの型(H1N1)は含まれていないために新型インフルエンザA(H1N1)を予防することはできません。季節性のインフルエンザに対しても予測した型と違う型が流行すると完全には予防できないこともありますが、罹患しても症状の重症化を防ぐことができます。また、発熱した場合には新型インフルエンザへの罹患を疑うことでより注意して対応すると考えられます。以上を踏まえ、季節性インフルエンザの予防接種を受けることを強くお勧めします。
Q3. 手洗いを行う頻度について教えてください
A3. 少なくても以下の頻度で手洗いを行うことを推奨します。@出社直後、A昼食前、B帰宅直後の3回は特に効果的です。また、外出などした際にも状況に応じて適宜手洗いを行ってください。なお手洗いの時間ですが、最低20秒間は念入りに行ってください。20秒とはハッピーバースデーの歌を2回歌う程度の時間です。
Q4. ウイルスは体の外ではどのくらいの間生き続けることができますか?
A4. 飛沫に含まれるウイルスは、手のひらでは約15分間、衣服・紙・ティッシュペーパーでは8-12 時間、金属やプラスチックなど硬くてつるつるしている場所(例:ドアノブ)では24-48時間生存するといわれています。
【症状がある場合のQ&A】
Q5. 正しい咳エチケットの方法を教えてください
A5. インフルエンザはクシャミや咳による飛沫に触れることで感染します。クシャミや咳をする場合には、ティッシュペーパーで口を覆ってください。ティッシュペーパーがない場合には、袖口で口を覆ってください。手のひらで口を覆った場合には、飛沫は手のひらに付きます。その手でどこかに触れることで、他人にウイルスが感染しますので、素手で口を覆うことは避けてください。(素手で覆った場合には手洗いを念入りに行い、他人への感染を防いでください)
Q6. 今朝発熱したため休むと連絡してきた従業員がいます。この場合、どの範囲を濃厚接触者と考えればいいですか?
A6. 発熱した従業員がインフルエンザと診断された場合に加え、感染者との接触歴(発熱した従業員の家族にインフルエンザの患者がいる、あるいは過去数日以内にインフルエンザの人と接触したなど)があればインフルエンザによる発熱と判断し、確認が取れた時点から24時間以内に発熱した従業員と2m以内の範囲で接触した方々(同室での会議を含む)が濃厚接触者となります。朝連絡があったのなら前日の朝から、昼に具合が悪くなり早退したのなら前日の昼から接触した方々です。  濃厚接触者は、潜伏期間(感染してから発病するまでの期間)の7日間はご自身の体調監視をしてください。なお、発熱した従業員がインフルエンザでないことが確認できた場合には、濃厚接触者としての体調監視は不要になります。
Q7. 熱、鼻水、のどの痛みがあり医療機関を受診しましたが、インフルエンザの検査で陰性と言われました。出社してもいいですか?
A7. 医療機関では、A型インフルエンザやB型インフルエンザに感染しているかどうかの簡易検査を行うことができます。しかし、インフルエンザに罹患している人でもこの検査で陽性になるのは80%程度といわれており、陰性と出た場合でも20%の人はインフルエンザに感染している場合もあるということになります。従って高熱が出た場合には、症状や周囲の流行状況を踏まえ、インフルエンザを考慮した対応、つまり症状が消失するまで自宅にて療養することが望ましいといえます。
Q8. 抗ウイルス薬(タミフル、リレンザ)には解熱作用はありますか?
A8. 抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑える効果があります。抗ウイルス薬を服用した場合には、インフルエンザ症状の持続を1日もしくは1.5日程度短縮することができます。抗ウイルス薬自体には解熱の効果はありません。
Q9. 発熱しました。数日前子供が新型インフルエンザと診断されたときにもらったタミフルが残っているので、それを服用して自宅療養してもいいですか?
A9. 抗ウイルス薬のタミフルは、体内のウイルスの増殖を抑える作用がありますが、ウイルスがある程度増殖した後ではその効果は望めません。医師の診断を受け、発病から48時間以内(できるだけ早い方がよい)に服用を開始し、5日間服用する必要があります。この服用開始までの時間と服用期間がウイルスを抑えこむために大切です。2〜3回服用すると症状は和らぎますが、ウイルスが十分抑えこまれたとは言えず、生き残ったウイルスが薬に対して耐性をもつリスクにつながります。症状に応じて自分のために処方された薬を、指示された期間服用することをお守りください。
【職場への復帰に関するQ&A】
Q10. 熱、鼻水、のどの痛みがあり医療機関を受診してインフルエンザAと診断されました。 タミフルと解熱剤を処方され、服用開始から3日目には平熱になりました。いつから出社していいですか?
A10. インフルエンザと診断された場合には、発熱、咳、のどの痛みなどの症状がある間は自宅療養が望ましくなります。解熱とは体温が38℃未満になったことを指します。解熱を確認した日とゼロ日とし、3日目から出社が可能になります。解熱しても咳や鼻水の症状があれば出社時にはマスクを着用してください。以下に例を紹介します。
例1:月曜日の朝38℃以上あったが、昼には38℃未満になった場合では、火曜日・水曜日と2日間自宅療養をして木曜日に出社することになります。
例2:日曜日の夜は38℃以上あったが、月曜日の朝起きたら38℃未満だった場合も、38℃未満と確認したのは月曜日なので、同様に火曜日・水曜日と2日間自宅療養をして木曜日に出社することになります。

(参考・引用)
・WHO (世界保健機関)のホームページ http://www.who.int
・厚生労働省 新型インフルエンザ対策ガイドライン http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/guide/090217keikaku.pdf
・厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html