ペットからうつる病気と予防について

現在、日本国内で飼われているペットの数は、犬・猫だけで1700万匹とも3000万匹とも言われておりますが、実際の所、保健所に登録されていない犬も多数あり、正確な数の把握がされていないのが実状です。また、それ以外の動物(鳥・ハムスター等)を飼育されているケースも多々あり、気付かないうちにペットが持つ微生物に人が感染し、発病する可能性も少なくありません。
といっても、ペットは人にとって大切な生き物ですし、感染症の大半が予防可能です。もし、うつっても早めに適切な治療を行なえば、治るものが多いので、心配し過ぎる必要はありません。
大切なのは、ペットからの感染症について正しい知識を持ち、ペットと上手に付き合っていくことです。
ここでは、主なペットから感染する病気と予防法についてご説明いたします。

ペットからうつる主な病気と症状

感染を防ぐポイント

基本的なルールを守る 
●犬を飼う場合、飼い主の責任として、必ず保健所に登録し毎年狂犬病の予防接種を行いましょう
自宅で飼っているペットに限らず、動物に接触すると、知らないうちに唾液や粘液に触れたり、傷口などに触れてしまうことがあります。動物を触った後には、必ず、流水と石鹸でよく手を洗うことと、うがいをすることを心がけましょう。
犬や猫が排泄をしやすい砂場や公園、空き地、家の庭などで土や砂に触った時も上記と同様です。

河や湖など河川も動物の排泄物で汚染されていることがあります。あまり知らない場所での水遊びは、控えることをお薦めします。
海外から輸入されためずらしいカメや爬虫類は生態が良くわかっていないため、人にとって未知の病原体を持っている可能性があります。ペットとして飼育することは控えましょう。特に市販のミシシッピアカガメ(通称ミドリガメ)の幼体はサルモネラ菌保有率(5090%)が高い為、注意しましょう。

ペットは、清潔な環境の下で飼育する
ペットを飼うときは病気が移りにくい、清潔な環境づくりが大切です。ノミの駆除・爪の手入れ・糞・尿の処理を適切に行ないましょう。
室内で飼育する場合は、ペットのケージ、カーペット、ソファー、布団なども念入りに掃除しましょう。
糞・尿などの排泄物は、乾くと空中に飛び散って感染することがあるので、乾く前に直接手を触れないよう、ビニール袋等を使用して始末しましょう。
特に、鳥類を飼っている場合、鳥かごの清掃時には、糞や羽毛を吸い込まないようマスク着けて行なうことをお薦めします。

ペットの健康状態を日頃から観察する
感染症は、動物自身にも症状が現われることがあります。日頃から、糞や尿の状態、食欲や元気さ、毛並み等、ペットの健康状態を良く見ながら世話をしましょう。

過剰なスキンシップは禁止
ペットとキスをする、口移しで食べさせる、同じ食器を使う、添い寝をするなどの過剰なスキンシップは、感染の原因をつくっているようなものなので、やめましょう。

海外旅行等では、不用意に動物との接触は避ける
海外でも、動物由来の感染症は多くありますが、特に「狂犬病」は、発病すれば致死率100%の危険な感染症です。20068月、フィリピン滞在中の2人の日本人男性が狂犬病の犬に手を噛まれ、狂犬病ウィルスに感染したにも関らず現地の医療機関を受診されず、帰国後発病し、その後医療機関を受診されましたが、結局2人共死亡されました。
日本では、1950年に狂犬病の予防接種に関する法律を決めたこともあり、1957年を最後に上記まで、発症を認めておりません。しかし、世界では、毎年55000人が狂犬病で死亡し、その56%がアジア地域という現実があります。特に中国、インド、フィリピン、インドネシア、スリランカの各国で発病例が多い為、この地域に旅行される場合は不用意に動物に接触することは避けましょう。
予防策として、渡航前に予防接種を受ける方法がありますが、上記のフィリピンでの狂犬病報道後、狂犬病ワクチンの需要が増えた為、犬等に噛まれた後の曝露後接種用の販売が優先され、渡航前の予防接種用の狂犬病ワクチンの入手が困難な状況にあります。
これは、狂犬病の潜伏期間が平均30日(2週間~12年)と長いため、犬等に噛まれても発病前であれば、ワクチン接種により、発病阻止が可能なためです。
万が一、噛まれたり引っかかれた場合は、傷口をすぐに石鹸で水洗いし、なるべく早く現地の医療機   関を受診し、曝露後の予防接種を受けて、帰国後は、検疫所で相談しましょう。
尚、狂犬病は、犬だけでなく、猫・アライグマ・キツネ・スカンク・ヒツジ・コウモリ・ねずみ等ほとんどの哺乳類から感染する恐れがありますので、これらの動物に対しても同様の注意が必要です。
狂犬病の情報は、渡航者向け感染症情報ホームページhttp://www.forth.go.jp/をご覧下さい。

以上

「参考・引用文献」
暮らしと健康7月号 保健同人社 
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou.html
人と動物の共通感染症研究会 http://www.hdkkk.net/mokuji.html