熱中症を予防しよう!

熱中症の危険度(リスク)管理と熱中症対策グッズの紹介


 今回は、家庭での熱中症予防として、熱中症の危険度(リスク)管理と熱中症対策グッズについて紹介します。厚生労働省の「熱中症による死亡災害発生状況(平成19年分)について」では、平成19年において18件の死亡災害が発生したと発表しています。また、東京消防庁の情報によりますと、2006年に東京消防庁管内で約600人が、熱中症で救急搬送されました。

1.熱中症の危険度(リスク)管理
1.1 家庭での屋外作業における危険度管理

OHMSガイドライン「暑熱」は、もともと職場での熱中症を防止するために作成されましたが、家庭での屋外作業にも適用できます。
主な手順は、以下のとおりです。
 
温度、相対湿度の測定
  作業場所近傍の温度と相対湿度を温湿度計や乾球・湿球温度計を用いて測定します。この時、直射日光の影響を受けないように日陰で、作業開始 前、午前の休憩後、午後の作業開始前、午後3時頃に、温度と相対湿度を 断続的に測定します。
②熱中症の危険度評価
  測定した温度、相対湿度から図1の体感温度表を用いて、体感温度(℃)を 求め、どの危険度分類になるかを調べます。
③危険度に応じた熱中症対策の実施

  表1の危険度分類に応じた熱中症対策を実施します。体への負担が大きい 作業(直射日光下での作業、重度の筋力作業等)を行う場合、危険度分類 は1段階厳しく分類します。
 

Category危険度分類) Heat Index(体感温度範囲)
I    Extreme Danger(非常に危険な領域)          ≥ 54 ℃
 IIa  Danger(危険な領域)(上)                               ≥ 47 ~ < 54 ℃
 IIb  Danger(危険な領域)(下)        ≥ 41 ~ < 47℃
  III  Extreme Caution(細心の注意を要する領域)  ≥ 32 ~ < 41℃
IV  Caution(注意領域)                      ≥ 29 ~ <32℃

体感温度(熱指数)(HI)計算式
       HI (°F) = -42.379 + 2.04901523*T + 10.14333127*R - 0.22475541*T*R - 6.83783x10-3*T2
        - 5.481717x10-2*R2 + 1.22874x10-3*T2*R + 8.5282x10 -4*T*R2 - 1.99x10 -6*T2*R2
        where ここに、T = ambient dry bulb temperature degrees Fahrenheit(乾球温度、°F)
        R = relative humidity(相対湿度、%
     出所: NOAA’s National Weather Service: http://www.crh.noaa.gov/jkl/?n=heat_index_calculator
        HI°F/計算ウェブサイト: http://avc.comm.nsdlib.org/java/heatindex/heatindex.html

表1 家庭での屋外作業における熱中症対策

分類 体 感 温 度
範囲
熱 中 対 策
I ≥ 54 °C

2030分毎に水分を補給する。
45分毎に10分程度の休憩をとる。
③クールベストを着用する。()

IIa

≥ 47 ~< 54 °C

30分毎に水分を補給する。
60分毎に10分程度の休憩をとる。
③クールベストを着用する。(注)

IIb

≥ 41 ~< 47 °C

30分毎に水分を補給する。
60分毎に10分程度の休憩をとる。
③適宜クールベストを着用する()

III

≥ 32 ~< 41 °C

45分毎に水分を補給する。
②適宜休憩をとる。
③適宜クールベストを着用する。(注)

IV

≥ 29 ~< 32 °C

60分毎に水分を補給する。
②適宜休憩をとる。

() 代わりに扇風機、送風機を使用しても良い。


1.2 スポーツ活動中の危険度管理
スポーツは、一般に作業強度が非常に大きいので、1.1で紹介したリスク管理を適用することができません。代わりに、次表に示す(財)日本体育協会の「熱中症予防運動指針」を利用することができます。環境温度の指標として、WBGT(湿球黒球温度)、あるいは湿球温度や乾球温度で危険度を分類することができます。

【熱中症予防運動指針】    出典:(財)日本体育協会



2.熱中症対策グッズの紹介

熱中症対策グッズには、吸水された水が蒸発する時の吸熱作用を利用して体の熱を奪うタイプや冷却した保冷材を利用して体を冷やすタイプがあります。

2.1 吸水された水の吸熱作用を利用するグッズの例

    帽子タイプ1           帽子タイプ2                 スカーフタイプ
          

2.2 冷却した保冷材を利用するグッズの例
    ベルトタイプ                 ベストタイプ
            

3.お役立ち情報
①熱中症の予防について詳しく知るなら
 ・環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
 ・(独)日本スポーツ振興センター(http://www.naash.go.jp/kenko/jyouhou/nettyusyo.html
熱中症対策グッズについて詳しく知るなら
 熱中症対策商品(http://item.rakuten.co.jp/anzenkiki/c/0000000536/
WBGTの予測値等の情報を得るなら
 環境省熱中症予防情報サイト(http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/

4.おわりに
今回紹介した管理方法については、あくまでも熱中症の管理方法の一例の紹介です。熱中症の発生には様々な要因(天候、体調など)が関与します。そのため、これらの管理方法により熱中症を完全に予防できる訳ではありません。

<参考・引用>
 1.(財)日本体育協会の「熱中症予防運動指針」
   (http://www.japan-sports.or.jp/publish/guidebook.html#guide01

以上