はしか(麻しん)についての留意事項

昨年はしかが全国的に流行したことはみなさまの記憶にも新しいことと思います。今年も昨年ほどではないものの、2月末までに全国で2,638人の患者が発生しています。都道府県別では神奈川県が990人と圧倒的に多く、全国の1/3以上を占めており、その他、福岡県(334人)、東京都、北海道(263人)などで多く発生しています。ちなみにエクソンモービルグループの社員が多い他の地域では、千葉県92人、大阪府72人、和歌山県2人となっています。年齢別では19歳以下が2/3を占めていますが、20歳代も599人 (23%)、30歳以上も265人 (10%) が発症しています。したがって皆さんのお知り合いの中でも、とくに10歳代、20歳代の若年者は引き続き、はしかに留意していただく必要があります。

1. 37.5℃以上の熱が出たらすぐに近くの医療機関を受診してください
 37.5℃以上の熱が出れば、はしかの可能性があります。
 とくに10歳代、20歳代で
 ・はしかの予防接種を受けたことがない
 ・はしかに今までかかったことがない(不明もふくむ)

 のいずれか一方にあてはまる方は注意が必要です。
 早急に内科などの医療機関を受診し、はしかかどうかの診察を受けてください。

2. はしかと診断されたら出社しないでください
 はしかと診断されたり、その可能性が高いと診断されれば自宅で静養してください。
 はしかは非常に感染力の強いウイルス(免疫のない人に発生する確率は90%)です。
  症状がおさまっても数日は感染力が持続しますので、出社や登校をするのは、
 発しんが出現してから5日目にしたほうが良いでしょう

 感染力については、熱が下がって3日たってからもなくなりますが、解熱剤を飲むと体温
 の低下が薬によるものかどうかを判断できません。
 したがって、解熱剤に影響されない発しんを感染力の指標とするのがよいのです。
 まわりの方へうつさないためのマナーと考えていただきたいと思います。

3.予防接種の必要性について
 以下 (1)、(2) のいずれかにあてはまる方は予防接種は必要ありません。
 はしかに対する十分な抗体をもっており、感染する心配がないからです。
 (1) はしかにかかったことがある
 (2) 予防接種を2回行った(母子手帳などでご確認ください)
 上記 (1)、(2) のどちらにもあてはまらない方は、採血により抗体検査を行うことで、
 はしかにたいする抵抗力があるかどうかを判断できます。
 抵抗力が十分あれば、予防接種の必要はありません。不十分であれば、予防接種を
 受けることで感染を予防することができます。
 抗体検査、ワクチン接種のいずれも、外部の内科などの医療機関で行うことができ
 ます。
 費用について、医療機関によって若干異なりますが、抗体検査は約2,000円、ワクチン
 接種は約8,000円となります。予防接種をご希望の場合は、当該医療機関へお電話
 などでお問い合わせください。

4. はしかの基本事項
(1) 感染経路
 はしかは正式には麻しん(ましん)といいます。麻しんウイルスによって引き起こされる
 病気で、感染力が非常に強く、はしかにかかった人と話したり、くしゃみなどで空気中
 に飛び散ったつばを吸い込むだけで、免疫を持っていない人は発症します。
(2) 症状
 ウイルスに感染してから約10 日後に、38℃程度の発熱やかぜ
 症状がはじまり、2-3 日発熱が続いたあと、39℃以上の高熱と
 ともに発しんが出現します。
 セキや鼻水、目の充血などの症状も出ます。ときに、肺炎、中耳
 炎などを合併することもあります。
 まれですが、脳炎を発症することもあります。発熱中が最も感染
 力が強い時期ですが、熱がさがってからもしばらくはウイルスが
              生き続けます。
(3) 治療法
 特別な治療法はなく、症状を緩和する治療(対症療法)が行われます。合併症があれ
 ばそれに応じた治療が行われます。
(4) 予防法
 3.で述べたとおり、あらかじめ予防接種を受けることで予防することができます。
 はしかにかかった人と接触した場合でも接触後3日以内ならば予防接種を受けること
 で感染を防止できる可能性があります。
 また、6日以内ならばガンマグロブリンの注射で発病を抑えることができる可能性が
 あります。ただし、ガンマグロブリンは血液製剤なので、その使用に当たっては医師と
 十分にご相談ください。

はしかは予防接種により十分感染を防ぐことができます。一方、一度発症すると感染力
が強いため、職場や家族など、まわりの方々へ多大な影響をおよぼします。
また、流行してからではワクチンが不足して予防接種を受けたくてもできなくなることも
予想されます。
流行する前にご自分がはしかに感染したか、予防接種を行ったかを確認し、必要に応じ
て予防接種を受けていただきたいと思います。

(参考・引用)
・国立感染症研究所 感染症情報センター 疾患別 麻疹
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html
・東京都健康安全研究センター 麻しんQ&A
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/measles/mashin/mashinqanda.html

                                               以上