食品カロリーと栄養成分表示について知っていますか?

まず最初に質問です。『カロリーと聞いて頭に浮かぶイメージはなんですか?』・・・・
ダイエット、食事、運動、消費カロリー、摂取カロリーなどなど様々なものをイメージしたのではないでしょうか。では、『カロリーってなんですか?』・・・・・・・・この質問に、はっきりと答えられた方は意外と少ないのではないかと思います。今回は、知っているようで実はあまり知られていないカロリーについて、そしてカロリーをはじめ食品の情報の宝庫である栄養成分表示について知識を深めて行きましょう。

●カロリーってなんだろう?●
カロリーとは熱量の単位で、1カロリーは1気圧下で1グラムの純水の温度を1℃高めるのに要する熱量のことです。栄養学的には栄養価を燃焼熱で表す際に用いられ、通常キロカロリー(kcal)で表されます。ただし、国際的には「ジュール(J)」という単位に移行しつつありますので、そう遠くない未来にはカロリーという単位が使用されなくなる日が来るかもしれません。外国製品や新版食品成分表などではすでに併記してあるものもあります。ちなみに1cal4.2 Jです。

●カロリーを発生できるのは3大栄養素だけ●
人間は生きて活動するために、体内に消化酵素やその他の元素を利用しゆるやかに長時間かけて物質を燃焼するメカニズムを持っています。そして、そのために利用できるエネルギー源は『たんぱく質・糖質(炭水化物)・脂質』の3大栄養素に限定されています。ですから現在食品カロリーと言う場合には、これら3大栄養素が体内で発生させる熱量を指しています。各栄養素が1gあたりに生み出すエネルギーは、たんぱく質・糖質4kcal、脂質9kcalとなっており、脂質のエネルギーが突出しています。脂質は摂り過ぎると太るわけですよね。

3大栄養素だけ摂取していれば大丈夫?●
『他の栄養素はエネルギー源にならないのだったら、エネルギー源となる3大栄養素だけとっていればいいってこと?』と考えるのは早計です。何故なら、摂取した3大栄養素を代謝するための物質がビタミン・ミネラルなどの副栄養素であり、これらが不足すると、@3大栄養素がエネルギーになる効率が下がるため脂肪が貯まりやすくなる、A体が適切につくられないため体調を崩す、など様々な不具合が生じます。そのため3大栄養素だけではなく、ビタミン・ミネラルなどその他の栄養素もバランスよく摂取することが大切です。

●カロリーゼロの魔法●

ダイエットブームを反映して、『カロリーゼロ』という表示をよくみるようになりました。果たして本当にカロリーはゼロなのでしょうか?いくら飲んでも太らないのでしょうか?
実は、ここには栄養成分表示のマジックが隠されています。カロリーゼロの記載基準では、100mlあたり5kcal未満であれば『ゼロ』と表示できるのです。500ml飲んで25kcal未満なので大したカロリーではありませんが
、『ゼロ』ではない場合もあるということです。“塵も積もれば山となる”?飲みすぎにはお気をつけ下さい。
ちなみにカロリーオフは・・・100mlあたり20kcal未満であれば『オフ』と表示できます。こちらも500mlだと100kcal程度にはなりますので油断は禁物です。

●栄養成分表示をみてみよう!●
栄養成分表示の図
さて、食品には図のような『栄養成分表示』というものがあります。これは健康増進法に基づいて一定のルールで表示することが義務付けられています。目にしたことがある方は多いと思います。この栄養成分表示には大切な情報がたくさん詰まっていますので、ぜひじっくりと見て購入の際や、摂取の際に参考にしていただきたいと思います。ただ、見方にちょっとこつがあります。

●栄養成分表示を見る時の注意点●
1.     表示単位をよく見ましょう
栄養成分表示では、エネルギー量が必ず示されていますがその表示単位は任意です。ですから、100ml100g1食分、1枚など様々な単位で示されているため、必ずしも1製品当りのカロリーを反映していない場合があります。特にカロリーが高いものの場合は、100gで表示して、「あれ、案外カロリー低いんだ」と思わせる効果をねらう場合もありますので要注意です。



    栄養成分表示                             栄養成分表示
  <100mlあたり>       どちらのカロリーが高い   <1製品(200ml)あたり>
  熱量  186kcal        でしょうか              熱量  225kcal

2.     ナトリウム(Na)=塩分の量ではないので注意しましょう
栄養成分表示には必ずナトリウム(Na)の表示がありますが、ナトリウム(Na)=塩分量ではありませんので注意してください。
それではどうしたらよいかというと、ナトリウム(Na)を塩分に換算するための公式を利用します。
        ナトリウム(Nag× 2.54= 塩分量 g
※単位はgなので注意しましょう。
※計算するのが大変なので、便宜的に約2.5倍と覚えても良いでしょう。


実際に計算して見ましょう。
2.6gx2.54=6.6g となり、塩分量は6.6gも含まれていることになります。

日本人の1日の塩分摂取量の目安は10g以下ですので、2.6g6.6gでは、今日あとどれくらい塩分が摂れるかを考えると全く違いますね。


●一口のカロリーを侮るなかれ●
お料理をつくっているときの味見、家族が残したものを一口二口、お腹がすいているのでちょっとつまみぐいなど、少しだから大丈夫とつまみぐいをしていませんか?実はその一口結構カロリーがあるのです。
一口のエネルギー量

コロッケ1/4

50 kcal

ぎょうざ1

60 kcal

ハンバーグ 1/4

100 kcal

ゆで卵 1/2

40 kcal

やきそば 1

40 kcal

にぎり寿司中トロ 1

60 kcal

アーモンドチョコレート1

25 kcal

上カルビ 1

70 kcal

  【ドーナッツのオールドファッション
   半個で143kcalですよ。】

     

    








体重が60kgの人が100kcal消費しようと思ったら、速歩(ウォーキング)で25分前後の運動をする必要があります。

摂取するのは簡単だけど、消費するのはかなりの労力が必要となる“カロリー”、栄養成分表示などを活用して上手に摂取していきたいものです。

参考・引用文献
新村出編:広辞苑.岩波書店,日本糖尿病学会編:糖尿病治療ガイド2004-2005.文光堂
慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 ENJOY!ヘルスアップ教室 資料