内 臓 脂 肪 を 減 ら す 生 活

メタボリックシンドロームの診断基準の根幹は おなか周りにたまった「内臓脂肪」です。おへその高さの腹囲が「男性85cm以上、女性90cm以上」の場合に内臓脂肪型肥満と判断されます。加えて 高脂血症・高血糖・高血圧のうち 2つ以上の項目に当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。(表1

1 メタボリックシンドロームの診断基準

おへその高さの腹囲

男性85cm以上

女性90cm以上

プラス

@血中脂質

中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満

A空腹時血糖

110mg/dl以上

B血  圧

収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上

@〜Bのうち2項目以上

1. 内臓脂肪がたまりやすい人の特徴
ある疫学調査でメタボリックシンドロームの人の特徴として「食事量が多い」「飲酒量が多い」「早食い」が挙げられました。(表2
2 メタボリックシンドロームの人の特徴
                 

1

食事量が多い

2

飲酒量が週451g*以上
*ビール大瓶3本以上または日本酒3合以上に相当

3

早食い

4

動物性脂肪過多

5

飲酒量が週151450g

食事量が多い:「ふつうの量」しか食べていないと表現する方が多いと思います。しかし、例えば50歳代なのに20歳代の息子さんと同量の食事を食べていれば、量が多いことになります。年齢にあったカロリーを摂取しているか再チェックしてみましょう。
飲酒:エネルギーが高いこと糖質が多いことが問題になります。糖質は中性脂肪の原料になり、飲めば飲むほど増えます。ビールを焼酎に変えてもエネルギー量は殆ど変わりません。
早食い:食事が多くなる要因になります。胃は一杯なのに脳が満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまいます。1回の食事に最低20分、良く噛んで食べましょう。
●喫煙:喫煙により体内の糖の消費が悪くなり、動脈硬化を促進させます。しかし、禁煙後は味覚が良くなり、過食傾向となって結果的に内臓脂肪を増やすことにもなります。禁煙を決意したら、同時に体重管理も重要となります。
男性と女性:男性の場合、20歳代で29%・30歳代で39%・40歳代で約半数がメタボリックシンドローム該当者と言われています。年齢上昇と共に基礎代謝が減る、労働時間が長くなり運動する時間がとれなくなる、自動車の利用が増える、飲酒量が増す、などが考えられます。女性は50歳以上から該当者が増える傾向があります。閉経による女性ホルモンの関わりが影響していると予想されます。場合により、婦人科などへ相談するなどの対応が必要です。

2. 運動などの身体活動で内臓脂肪は減る
運動や生活活動には、内臓脂肪を減らす効果があります。消費エネルギーを多くすれば、内臓脂肪はたまりにくくなり、体内の糖分消費が悪くなりエネルギーが消費されやすくなることは皆さんも既に御存知のことですね。筋肉を動かすことで糖分が筋肉に取り込まれ、血糖値が下がります。中性脂肪が消費されHDLコレステロールは増加します。さて、ではどのように運動や活動を行なえば良いのでしょうか。
      

3. 「健康づくりのための運動指針2006<エクササイズガイド>」
                                     厚生労働省2006/7
この指針では、身体活動を「運動」と「生活活動」に分け、それぞれを以下のように定義しています。(図1)                      
@ 身体活動・・・安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全て
         の動きのこと                    

A
運動・・・体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するもの
B 生活活動・・・身体活動のうち、運動以外のものをいい職業活動上のもの
         を含む

   身体活動の強さについては単位に「メッツ」を用い、量については「エクササイズ」(メッツ実施時間)と呼びます。(図2)              
生活習慣病の予防に必要な運動量は、1週間の合計が23エクササイズ以上となる身体活動(運動・生活活動)を行い、そのうち4エクササイズ以上は活発な運動を行なうこととしています。                     

内臓脂肪を減らすための運動量は、活発な運動の4エクササイズを10エクササイズ程度か それ以上に増やします。例えば、「速歩」を30分間、週5日行なうと10エクササイズに相当します。食事の摂取量を変えないでも運動を10エクササイズ実行すると、1ヶ月で12%の内臓脂肪を減らすことが出来ると言われています。

<まとめ >
内臓脂肪を減らすためには、食事と身体活動(運動+生活活動)の両面からの対策が必要です。過食や飲み過ぎの状態をそのままにしておいて、一時的に運動だけを実施してもバランスのよい減量には繋がりません。ゴロゴロ・ダラダラしやすい生活リズムがあれば、そういった癖や性質の改善も必要となるでしょう。短期計画ではなく、長期計画としてメタボリックシンドロームを予防したいものです。

<参考・引用>
内臓脂肪を減らす生活を実践しよう_暮しと健康 2006.11_保健同人社
●健康づくりのための運動指針2006<エクササイズガイド> 運動所要量・運動指針の策定検討会(厚生労働省)
健康づくりのための運動基準2006 報告書  運動所要量・運動指針の策定検討会(厚生労働省)