食中毒に気をつけよう

 先月ごろから食中毒に関するニュースが急増しています。飲食店の不適切な管理によるものからヨーロッパで流行した新種の細菌による食中毒まで原因はいろいろありますが、気温も湿度も高いこの季節は食中毒が特に発生しやすい時期となっています。ときには死亡してしまう場合もある食中毒・・・しっかりと予防しましょう!
1. 食中毒の原因は?
食中毒を引き起こす主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。細菌もウイルスも目には見えない小さなものです。細菌は温度や湿度などの条件がそろうと食物の中で増殖し、その食物を食べることにより食中毒を引き起こします。一方、ウイルスは食物中では自ら増殖しませんが、手や食べ物などを通じて体内に入ると、腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。
細菌が原因となる食中毒は夏場(6月〜8月)に多く発生しています。
その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)やカンピロバクター、サルモネラ菌などです。食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。 また、細菌の多くは湿気を好むため、気温が高くなり始め、湿度も高くなる梅雨時に、食中毒が増え始めます。例えば、O-157やO-111などの場合は、7〜8℃ぐらいから増殖し始め、35〜40℃で最も 増殖が活発になります。 一方、代表的な食中毒の原因ウイルスであるノロウイルスは、調理者から食品を介して感染する場合が多く、ほかに二枚貝に潜んでいることもあります。特に冬は、ノロウイルスによる食中毒が毎年多く発生しています。 このほか、毒キノコやフグなどの「自然毒」、殺菌剤などの「化学物質」なども、食中毒の原因となっています。
2. 食中毒の予防方法は?
食中毒はちょっとした危険予知で予防することができます。食物を扱う前にSPSAを実践して食中毒を防ぎましょう!
【家庭編】
家庭では6つのポイントがあります。
@ 食品の購入
買い物をしたら寄り道せずにまっすぐ帰ります。他の用事は先に済ませてしまいましょう。
A 保存方法
帰ったらすぐに冷蔵庫へ!冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下を維持しましょう。肉・魚は汁がもれないように包むなどします。
B 下準備
まず手洗いをしっかりします。調理前だけでなく生ものを扱ったあとなどこまめに手を洗いましょう。また、肉・魚だけではなく、野菜にも食中毒の原因となる細菌がついているケースがありますので、野菜も流水でよく洗いましょう。台所などに下のイラストを張っておいてもいいですね。
C 調理
加熱は十分に行いましょう。めやすは 中心部分の温度が75℃で1分以上 です。確実に実行するためには中心温度計で測る方法と良いのですが、日常生活においてはいつもより時間をかけて十分加熱すると良いでしょう。また、ハンバーグなどはフタをして焼くと火の通りが良くなります。 電子レンジを使うときは均一に加熱されるようにします。電子レンジ使用時のポイントは次のとおりです。  ● 野菜などは大きさを揃えて切る。  ● ひき肉などは薄めに広げて平らにする。  ● 電子レンジ用の容器・フタを使う。  ● 調理時間に気をつける。  ● 熱の伝わりにくい食物は時々かき混ぜる。
D 食事
食事の前に手を洗いましょう!!調理済みのものでも食べ物は長時間室温に放置しないようにします。また、清潔な食器や器具を使って食べるようにしましょう。
E 残った食品
残った食品は長時間出しっぱなしにせずにすばやく処理をしましょう。
【外食編】
外食では4つのポイントがあります。
@ お店を選ぶ
清潔感のあるお店を選びましょう。厨房がごちゃごちゃで不潔なお店はこの時期は要注意です。お店の外に生ゴミを放置しているようなお店も避けたいですね。
A 生の肉は食べない
発生件数が多く、時に重症化事例が発生して問題になるのがカンピロバクター・腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)による食中毒です。これらの細菌は家畜の腸にいる細菌なので肉に付着する菌をゼロにすることは困難です。ただ、熱に弱いため十分加熱して食べれば、食中毒にはなりません。 鶏肉の刺身やユッケなどのように 肉を生で食べるのは避けましょう。 外食の際は食材の安全性や調理過程を見極めるのが困難です。 自分と家族の身を守るためには「危うきものに近寄らず」の姿勢が大切です。また、子供は大人に比べて、感染しやすく重症化しやすい傾向にあります。子供に生肉を食べさせるのは絶対にやめましょう。
B トングとお箸を使い分ける
特に焼肉などで気をつけたいのが生の肉をつかんだトングや取り箸と食べる時に使用するお箸などを使い分けることです。焼いた肉を食べる時に、生肉をつかんだトングや箸をそのまま使用すると、トングや箸ついた細菌が口に入って感染する恐れがあるので気をつけましょう。
C 食べる前の手洗い
レストランで食事前に手を洗う習慣がありますか?おしぼりでは不十分ですので、食事の前に流水 と石けんで手を洗うことを習慣にしましょう。手を洗うときは表面だけではなく指の間・爪の中・ 手のひら・手の甲までまんべんなく丁寧に洗います。
<参考資料>
 1.厚生労働省ホームページ      http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html  2.食品安全委員会ホームページ      http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_profile.pdf  3.農林水産省ホームページ      http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/foodpoisoning.html