化粧品による健康障害について考えてみましょう!


―化粧品の選択は、消費者の視点で―

 女性の皆さんがほとんど毎日利用している化粧品は私たちの生活をより楽しく豊かにしてくれます。その一方で、化粧品には種々の化学物質が含まれているので、皮膚障害等の健康障害を起こすことがあります。化粧品メーカーには、化粧品の容器やパッケージに全成分の表示をすることが義務付けられています。消費者は表示されている全成分を確認して、化粧品を選択することができます。ただし化粧品に含まれている各成分による健康障害については、残念ながらわかっていないことが多く、今後の調査・研究等を待たなければならないことも事実です。
 今回は、化粧品による健康障害について、いっしょに考えていきましょう。


1.化粧品とは
 化粧品は化粧に用いる品のことで、具体的には化粧水、乳液、クリーム、白粉(オシロイ)、口紅、アイシャドー、洗顔剤などがあります。化粧品は厚生労働省の定める薬事法のもとに管理されています。化粧品を製造、輸入するには薬事法で定められた基準を満たし、許可を受ける必要がありますので、手作り化粧品などを個人が販売することは薬事法違反になります。薬事法第2条では、化粧品は以下のように定義されています。
 「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。・・・(後略)」


2.化粧品に含まれる成分の皮膚からの侵入
 皮膚の一番外側は厚さ0.1〜0.3mmの表皮で覆われていて、毛嚢、汗腺、脂腺の開口部があります。
 表皮の下には真皮があり、毛細血管が網状に走っています。化粧品が表皮に付着すると、それに含まれている成分は毛嚢、汗腺、皮脂腺などを通って体内に溶け込み、やがて毛細血管から血液中に入り全身を循環することができます。水や油に溶解しやすい成分ほど一般に体内への侵入量が大きくなります。また、夏季など高温下では汗をかき、汗腺や毛嚢の開口部が開いているので、化粧品の侵入はより容易になります。
 このように化粧品は良くも悪くも皮膚から体内に容易に侵入することができますので、毎日、長時間肌につける化粧品の成分については健康への影響を考える必要があります。


3.化粧品による健康障害
 皆さんは、昔、鉛白製の白粉(オシロイ)が長い間、使用されてきたことをご存知でしょうか。
 鉛白の主成分は、炭酸水酸化鉛(2PbCO3・Pb(OH)2)です。鉛は非常に有毒な化学物質の1つで、今では中枢神経障害、末梢神経障害、血液障害等を起こすことがわかっています。もちろん、鉛白は化粧品として現在使用されていません。
 1977年には「黒皮病裁判」といって、化粧品に含まれるタール色素によって顔にシミができた患者18名が、大手化粧品メーカー7社に総額1億7,700万円の損害賠償を求めた裁判がありました。結果的には、メーカー側が5,000万円の和解金を支払うことで決着しました。 ここまでの化粧品の健康障害に関する教訓としては、健康障害が発症してから、成分の有害性が問題になったということです。
 こうした中で、旧厚生省は、1980年の「厚生省告示第167号」で、アレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある約100種の成分を“表示指定成分”として化粧品に明確に表示することをメーカー側に義務付けました。  それから20年後、旧厚生省は、2000年の「厚生省告示第332号」で、これまでの“表示指定成分”を廃止し、化粧品の容器やパッケージに全成分を表示することをメーカー側に義務付け、現在に至っています。化粧品の表示対象成分の変更目的について、旧厚生省の「医薬発第990号(2000年9月29日付)」には、以下のとおり記載されています。

「表示対象成分として、消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品の使用を自ら避けることを目的として102種類を指定していたところであるが、消費者の選択をより容易にするための情報を充実することを目的として、承認に係る化粧品を除き、全成分表示することとしたこと。」

 つまり、全成分表示に伴い、化粧品の選択は消費者に任せる、言い換えれば化粧品の選択は消費者の自己責任であると解釈できます。


4.化粧品による健康障害を予防するために
 筆者は、化粧品による健康障害を予防するため、以下の点について注意する必要があると考えます。
4.1 自分の肌の特性を知る
自分の肌の特性が以下のどれであるかを知って、自分に合った化粧品を選ぶ。
・ 普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌
・ アレルギー、アトピー、その他の皮膚病:化粧品の使用の際、専門医に相談するのが良い。
4.2 使用する化粧品の種類はできるだけ少なくし、1日の使用量もできるだけ少なくする。可能であれば、化粧品を使用しない日(休肝日ならぬ“休化日”)を設ける。
4.3 化粧品に含まれる成分を調べ、“表示指定成分”をできるだけ含まないものを選ぶ。“表示指定成分”を含む場合は、化粧品100g中の含有量ができるだけ少ないものにする。“表示指定成分”は、次のアドレスにアクセスすれば、検索できます。
http://joca.jp/102list.htm
4.4 もし、アレルギー等の皮膚障害を発症したら、化粧品に含まれる成分から原因物質を調べ、以降はその物質を含まない製品を選んで再発を防止する。必要に応じて専門医に相談する。

以  上


(参考・引用)
1.平成12年9月29日付 医薬発第990号
2.労働衛生の知識;(社)日本作業環境測定協会
3.化粧品の成分 簡単に説明 http://cosmetic-item.seesaa.net/
4.旧表示指定成分一覧 http://coco-beaute.com/newpage12.html